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晦日 [作品に関すること]

早いもので、今年ももう終わりです。
私にとってはいろいろなことがあって、あわただしく過ぎた1年でしたが、充実した1年でもありました。

9月から始めた「宮沢賢治と『アザリア』の友たち」ですが、多くの皆様に御覧いただき、ありがたく思っています。
これが今年最後の更新になります。

今回は、保阪嘉内の中学生時代のスケッチブックから「晦日」と題された作品を紹介します。
生家を裏手の畑から描いたものではないかと思われます。


晦日(1914年12月)

新年は賢治と嘉内の秩父の旅の続きをお送りしていく予定です。
2008年もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは皆様、どうぞよいお年を!


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保阪嘉内のスケッチ「ハーリー彗星之図」 [作品に関すること]

保阪嘉内は、甲府中学生時代(明治43年4月~大正4年3月)にたくさんのスケッチをしています。
風景画や静物画がその大部分を占めていますが、その中に「ハーリー彗星之図 五・廿夕八刻」と記された1枚の絵があります。

この絵は、明治43年5月20日に嘉内が甲州の山々の上空を通過するハレー彗星をスケッチしたもので、その印象を「銀漢ヲ行ク彗星ハ夜行列車ノ様ニニテ遙カ虚空ニ消エニケリ」と画中に記しています。
一方、岩手県は曇り空であったために、賢治はハレー彗星を見ることができませんでした。
私たちは、このイメージを嘉内が賢治に繰り返し話したことが、かの『銀河鉄道の夜』の着想に結びついたのではないか……と考えています。

さて、この絵を描いた当時、嘉内は甲府中学校の一年生で、寄宿舎生活をしていました。
その時に英語の教員で舎監でもあったのが星の研究家として知られる野尻抱影(本名・正英)だったのです。
おそらくは、抱影の話を聞いて嘉内もハレー彗星を眺めたことと思います。
それでは、このスケッチはどこで描かれたものでしょうか?

嘉内の次男の保阪庸夫氏はその場所を突き止めようと、長いあいだ調査と検討を重ねてこられましたが、最近になってそれがはっきりしてきました。
その場所とは……、旧甲府城内の一角。甲府中学校の寄宿舎があった場所でした。
次の写真は、甲府中学校の寄宿舎跡地付近から撮影したものです。
嘉内のスケッチと、山容がほぼ一致します。
嘉内はその夜、寄宿舎から夜行列車のように銀河をかけるハレー彗星を眺めたのでした。


(2007年9月 向山三樹氏撮影)

<参考>
当時の星空との関係については、加倉井さんの「緑いろの通信 10月号」に記事がありますので合わせてご覧ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~kakurai/kenji/news/news200710.htm



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「花園農村」とは? [作品に関すること]

さて、「保阪嘉内・宮沢賢治 花園農村の碑」の話題が続きましたが、このブログをお読みの皆様の中には「花園農村って何?」と思われた方もあるのではないかと思います。
「花園農村」とは、保阪嘉内が旧制甲府中学校の生徒であったころ弁論会の演説で主張していた、彼が模範とする農村の姿のことなのです。
宮沢賢治は、心象中に存在する理想郷として「イーハトーヴ」を思い描きましたが、保阪嘉内は理想郷として「花園農村」を中学生時代から思い描いていたのです。

嘉内は「農学を修め、郷里に帰って村長になり、花園農村を作るんだ」という志を持って、盛岡高等農林学校に進学します。
嘉内が具体的な「花園農村」のイメージを記したものはいくつかありますが、その一つが『文象花崗岩』という歌稿にはさまれていたノートの断片に書かれていたつぎの文です。

春は麦打ちせんと畑に立って遠山のかすみに消えゆく夢みる喜び
夏田植して帰る田の水の上に浮かむ白玉
秋は柿の梢に柿赤き頃 豊な稲はすゝ風にさらさらと波打って
冬は縄なひ 草鞋作り 夕べは家庭のもっとも歓しきうたげにあわやかに降りつむ雪をみる
われわれをして 田園都市を作らしめよ 模範農村を 作らしめよ
そしてわが幸ある天地の神に感謝をささげしめよ


この文は、「保阪嘉内・宮沢賢治 花園農村の碑」の真ん中の石に刻まれています。
そのほかにも、文化施設や病院があり、道路が整備され、美しい自然を楽しみながら村人が農業に誇りを持って働いている姿をイメージした作品もあります。

「保阪嘉内・宮沢賢治 花園農村の碑」が建立された東京エレクトロン韮崎文化ホールも、嘉内の遺志を具体化したものの一つといえるでしょう。
http://www.city.nirasaki.lg.jp/breeze/hall.htm


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