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宮沢賢治詩集(白凰社版) [本の紹介]

「宮沢賢治詩集」というタイトルの本がどのくらいあるのか・・・?
なかなか見当がつかないところですが、今回の話題はそのうちの1冊です。
詩人の宮澤章二さんの資料を調べていて『宮沢賢治詩集』(浅野晃編、1965年 白凰社刊)の「鑑賞ノート」を書いたという記述をみつけました。
宮澤章二さんが賢治の詩をどう見ていたかということは、かねてから気になっていたところでしたので、早速読んでみることに。

宮沢賢治詩集(新装版).jpg

なるほど、何となく見たことのある表紙。
(ちなみに写真は初版のものではなく「新装版」です)
図書館なんかにずらりと並んでいるのを見た記憶が?
白凰社という社名だけではわかりませんでしたが、このシリーズの1冊だったのですね。

この詩集の特徴はルビがたくさん振ってあることです。
難読な語だけでなく、中学生くらいでは難しそうな語にもルビが振ってあるのですが、気軽に読むにはこれが意外と読みやすいのです。
ただし、元からのルビは旧かな、編者が追加したルビは新かななので、読んでいて何となく変な気もしなくはありませんが…。

で、肝心の「鑑賞ノート」ですが、これがなかなか含蓄があります。
宮澤章二さんの眼を通して、改めて賢治の詩の魅力に触れられたように思いました。

「解説ノート」の最後は、こう結ばれています。
「なお、私事を記して恐縮だが、私は賢治と同姓であるけれども、関係は全くない。」

実に宮澤章二さんらしい一文…という感じがしました。


宮沢賢治詩集 (青春の詩集 日本篇 5)

宮沢賢治詩集 (青春の詩集 日本篇 5)

  • 作者: 宮沢 賢治
  • 出版社/メーカー: 白凰社
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 単行本



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『別冊太陽』の新刊「宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ」 [本の紹介]

平凡社刊『別冊太陽』の新刊が発売されました。

今回のテーマは「宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ(日本のこころ218)」です。
監修は栗原 敦・杉浦 静の両先生で、テーマによってさまざまな人達が執筆に関わっています。

宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ (別冊太陽 日本のこころ)

宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ (別冊太陽 日本のこころ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: ムック


「その生涯を自筆原稿や書簡、手帳やノート、資料図版でたどり、詩や童話などの創作活動とともに地学研究や農業、教育などの実践的活動の軌跡にも迫る。没後80年記念出版」
平凡社のWebサイトより)

まさに〝1冊まるごと宮沢賢治〟とでも言いたくなるほど充実した内容で、「評伝」として賢治の生涯をたどりつつ賢治のさまざまな面を紹介しています。
最後の頁に「どうぞ、てんでにすきなように、とびどぐもたずにみてください」と編集者の言が書かれていますが、どこからでも読めるように作られていますので、ランダムに開いてみるのもおもしろそうです。
そこには、新しい発見があるかも知れません。
定価2,500円(本体)+税ですが、それ以上の価値は十分にあると思います。
当ブログおすすめの1冊です。
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怖い俳句 [本の紹介]

図書館で『怖い俳句』(著:倉阪鬼一郎)という本を見つけて読んでいたら、思いがけず「河本緑石」という名前がありました。
この本は、芭蕉から現代俳句に至るさまざまな俳人の文字通り〝怖い〟俳句を集めて解説したものですが、その中の「第七章 自由律と現代川柳」に緑石の句が取り上げられていました。

   死んで俺が水の中にすんでる夢だつた

これは怖いです。
緑石が水死したことを考えると、何か将来を暗示しているような印象を受けます。
もちろん、本文ではこの本で初めて緑石を知った人にもある程度人物像がわかるように解説がされており、緑石の最期や『銀河鉄道の夜』のカムパネルラの死との類似などにも触れられています。

そして、「いま少し世に知られてもいい俳人ではないでしょうか」と結ばれています。
まったく同感です。

機会がありましたら、是非一度ごらんください。

怖い俳句 (幻冬舎新書)

怖い俳句 (幻冬舎新書)

  • 作者: 倉阪 鬼一郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/07/28
  • メディア: 新書



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『ふらここ第5号』と『大空放哉伝』復刻版が刊行されました [本の紹介]

河本緑石研究会から『ふらここ第5号』と『大空放哉伝』復刻版が刊行されました。

ふらここ新刊.jpg

『ふらここ第5号』(写真右)の方は、今回は河本家所蔵資料から緑石の書簡1通と教え子の書いた教師としての緑石の「印象記」が掲載されています。
いずれも、緑石の人柄をよく物語る貴重な資料です。

『大空放哉伝』(写真左)は「ふらここ叢書 河本緑石作品集5」として刊行されたもので、昭和10年に香風閣から刊行された『大空放哉伝』の改訂復刻版です。
新字・新かなで打ち直してあるため一般に読みやすくなっているほか、原版では未収録の原稿や構想メモなども収録されていますので、原版をお持ちの方も研究資料として手元に置かれてもよいと思います。

価格は『ふらここ第5号』(変形A4判・18頁)が300円、『大空放哉伝』(A5判・260頁)が1300円で、いずれも河本緑石研究会で頒布しているほか、倉吉市内の下記の書店でも扱っているとのことです。
今井書店倉吉支店(Tel.0858-23-4142)
倉吉ブックセンター(Tel.0858-24-0375)


こうした意義ある刊行物の出版は、まさに郷土ゆかりの人物の顕彰活動としての手本ともいえる事業であり、研究活動の根幹を成すにふさわしいものだと思います。
また、同会有志により河本緑石記念館の開館準備(詳細はこちら)も進められています。
河本緑石研究会のますますの発展と今後の活動に大いに期待しております。

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最近の刊行物から [本の紹介]

早いもので10月も既に半ばを過ぎました。
最近届いた刊行物を2点ご紹介いたします。

にじさん編集の「さきたま新聞」第26号です。
いつもお世話になっております。

さきたま新聞.jpg

今回も熊谷の暑い・・・いえ、熱い話題が盛りだくさんです。
熊谷では、くまがや賢治の会によって毎年9月初旬に「くまがや賢治祭」が開催されており、その第14回目が9月4日に行われました。
今号の記事では、賢治祭の模様のほか、東日本大震災を機に改めて注目された「雨ニモマケズ」と賢治精神についても触れられています。


こちらはアザリア記念会の会報「アザリア」第8号
第7号からほぼ1年ぶり、ひさびさの刊行です。

会報アザリア8号.jpg

9月にオープンした韮崎市民交流センター内の韮崎市ふるさと偉人資料館に関する記事、前号に引き続き浜垣誠司氏による「保阪嘉内の歌曲とDTM」が主な内容ですが、注目すべきは表紙の写真でしょう。
今号の表紙には保阪家から新たに発見された大正11年3月24日撮影の「稗貫農学校大正10年度寄宿舎生卒業記念写真」が使われています。
(ブログの画像では小さくてわかりづらいかも知れませんが、前列左端が賢治です)
小沢俊郎・菅原千恵子両氏によって大正10年7月に宮沢賢治と保阪嘉内の二人は〝訣別〟したという意見が通説として広まっていますが、この写真はそれ以降も二人の間には交友が続いていたことを示す物証の一つといえるでしょう。
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『氏家町史 史料編 近代の文化人』が刊行されました [本の紹介]

このたび、栃木県のさくら市から『氏家町史 史料編 近代の文化人』(編集:さくら市史編さん委員会。A4判736頁)が刊行されました。

「氏家町」といえば・・・
そうです、かの「アザリア」の友・小菅健吉の故郷です。

氏家町史ちらし.jpg

今回刊行された史料編の「近代の文化人」では、さくら市の文化を彩る荒井寛方・野口雨情・蕪木五泉・青木義雄・小菅健吉の5人が取り上げられています。
小菅健吉の章には「小菅健吉と『アザリア』の仲間」というタイトルが付けられています。

氏家町史 章扉.jpg

小菅健吉に関する史料の中心は、山梨県の保阪家に保管されている保阪嘉内宛の書簡です。
もちろん、『宮澤賢治 友への手紙』の刊行以来、その存在が広く知られている保阪嘉内のスクラップブックに貼り込まれた書簡はもちろん、スクラップブック以降の書簡も収録されています。
小菅健吉の書簡は達筆なものが多く、読むのがなかなか難しいところもありますが、同書ではすべて文字起こしされていますので、渡米中の小菅健吉の動向や「アザリア」の友たちとの友情を読み取ることができます。
このほか、鳥取県の河本家に保管されている「アザリア」誌を底本にした小菅健吉の作品や、河本義行宛書簡なども貴重な史料です。
たとえば、これまで保阪嘉内が宮沢賢治の死を知っていたか否かという議論もありましたが、同書収録の河本加寿代宛書簡には小菅健吉が保阪嘉内に賢治の死を知らせたことが記されています。

ボリュームのある重い本ではありますが、本の重さ以上に生の記録を残すこと、そしてそれを後世の人々に伝えられるようにきちんと整理・編集していくことの重要性をひしひしと感じます。
同書の刊行によって「アザリア」の友たちの伝記研究はますます充実したものになることと、お慶び申し上げますとともに、調査・編集・刊行に携わられました方々の苦労に心から敬意を表する次第です。

なお、『氏家町史 史料編 近代の文化人』は、頒価3,500円でさくら市ミュージアム―荒井寛方記念館―、さくら市教育委員会生涯学習課、さくら市氏家図書館、さくら市喜連川図書館で購入することができます。
郵送希望の方は、こちらにお問い合わせください。


(記:azalea)
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『宮沢賢治の青春』(角川文庫版) [本の紹介]


宮沢賢治の青春―“ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって (角川文庫)

宮沢賢治の青春―“ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって (角川文庫)

  • 作者: 菅原 千恵子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 文庫



長らく品切れになっていた菅原千恵子著『宮沢賢治の青春』がこのほど再版されました。
平成9年11月25日が初版で、平成15年3月10日の2刷を経て、今回が3刷です。

長らく病気療養中であった菅原さんが本年8月15日に亡くなったことに何か関連があるのかも知れませんし、このところ「アザリア」の仲間たちに関する話題が増えてきたことが関係しているのかも知れません。

内容について云々することは差し控えますが、古書で結構な値がつくこともありますので1冊580円という価格は、買いそびれたまま入手できないでいる方やこの機会に一度読んでみたいという方にとっては、購入のチャンスだと思います。


(記:azalea)
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『ふらここ』と『ふらここ叢書』の最新号 [本の紹介]

鳥取県倉吉市で活動されている河本緑石研究会の機関誌『ふらここ』4号と『ふらここ叢書 河本緑石作品集4』の新刊が発行されました。

ふらここ4.jpg

今回の「ふらここ」は、特集として「河本家所蔵資料目録」が掲載されています。
これは河本家に所蔵されている緑石の関係資料(作品掲載誌、書簡、手稿、日記・ノート類、辞令などの伝記資料等)をくまなく調査・整理し、分類のうえ目録化したものです。
膨大な資料をこつこつと時間をかけて整理されたであろう、関係者の姿が目に浮かぶようなすばらしい目録です。
目録を作るという作業は、実に地道で根気のいる作業です。
形ができるまでに長い時間と大きな労力がかかりますが、イベントのように華々しく注目されることはさしてありません。
しかし、資料目録こそが研究の基本中の基本であることは、言うまでもありません。
まさに「研究会」の名にふさわしい素晴らしい事業を完遂された、河本緑石研究会の皆様に心より讃辞を申し上げます。

そのほかに、御舩道子さん、河本義和さんのエッセイ、岡田幸助さんによる「倉吉訪問記」(「宮沢賢治センター通信」第8号から転載)、緑石逝去の翌年に刊行された倉吉中学の『記念誌』の記事などが掲載されています。
頒価は700円。


ふらここ叢書.jpg

『ふらここ叢書 河本緑石作品集4』は緑石の作品を採録したもので、『ふらここ』と共に、河本緑石研究会によって刊行が続けられています。
今回は荻原井泉水が創刊主宰した雑誌『層雲』に掲載された作品が集成されています。
『層雲』に掲載されている緑石の作品は自由律俳句ばかりでなく、詩、通信、評論・雑記・連句など多岐にわたっており、その文芸活動の幅広さが感じられます。
なお、俳句には索引が設けられており、掲載の巻号やその時の緑石の歳がわかるようになっています。
こうした丁寧な作りにも、研究会そして編集者の姿勢がよく感じられます。
『ふらここ叢書』の刊行は、緑石研究の基礎資料として重要な意義を持っています。
こちらも編集作業は大変なものかと存じますが、一読者として次の刊行を心より楽しみにしております。
頒価は1300円。


こうした意義ある刊行物の出版は、まさに郷土ゆかりの人物の顕彰活動としての手本ともいえる事業であり、研究活動の根幹を成すにふさわしいものだと思います。
河本緑石研究会のますますの発展と今後の活動に大いに期待しております。

『ふらここ』『ふらここ叢書』とも河本緑石研究会のほか、倉吉市内の下記の書店でも扱っているそうです。
今井書店倉吉支店(Tel.0858-23-4142)
・倉吉ブックセンター(Tel.0858-24-0375)


(記:azalea)
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でくのぼう宮沢賢治の会 会報誌12号 [本の紹介]

「でくのぼう宮沢賢治の会」の会報誌12号が、賢治の命日である9月21日に発行されました。

会報誌12号.jpg

今回は、「心友 保阪嘉内をたずねて」と題して特集が組まれています。
7月10日に収録させていただいた保阪庸夫氏へのインタビューが、なんと34頁にわたって掲載されています。
また、紀行文「山梨紀行 ―保阪嘉内ゆかりの地をめぐって―」では保阪嘉内の生家や墓所をはじめ、韮崎市やその周辺の嘉内ゆかりの地が写真入りで紹介されています。

保阪庸夫氏へのインタビューについては、「月光 2」のものを先月に御紹介させていただきましたが、「でくのぼう宮沢賢治の会」会報誌12号のものはまた違った切り口でなされています。

このように、保阪庸夫氏の記憶や思いが生の声として記録され、後世に伝えられることは、とても大切で大きな意義のあることだと思います。
前回のCD『「イーハトーブ農学校の賢治先生」を語る』ともども、記録の大切さを心から感じさせられた1冊でした。

もちろん、そのほかの記事も〝賢治さん〟への思いがぎっしり詰まっていて、読み応え十分です!

購入については、「でくのぼう宮沢賢治の会」のブログをごらんください(目次も見られます)。


(記:azalea)
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『月光 2』は宮沢賢治特集 [本の紹介]


発見!宮沢賢治 「海岸は実に悲惨です」 (月光 2 )

発見!宮沢賢治 「海岸は実に悲惨です」 (月光 2 )

  • 作者: 福島泰樹・立松和平・黒古一夫・太田代志朗・竹下洋一
  • 出版社/メーカー: 勉誠出版
  • 発売日: 2010/06/30
  • メディア: 単行本


厳しい残暑が続いています。
保阪嘉内が大正6年7月に「あついぞ!熊谷」で知られる埼玉県熊谷市を訪れ、「これはまったく溶鉱炉」とその暑さを形容していますが、その頃の最高気温は31度台程度だったようです。
処暑を過ぎても35度を超える日が連日のように続く今年の暑さ・・・。
保阪嘉内が今この暑さを感じたら、何と形容したことでしょうか[あせあせ(飛び散る汗)]

しばらくブログを更新できずにいましたが、今回はひさびさに本の紹介をさせていただくことにします。
遅ればせながら、勉誠出版の『月光 2』です。
この号は、「発見!宮沢賢治『「海岸は実に悲惨です』」とサブタイトルが付けられているように、賢治特集です。
新発見の口語詩草稿「〔停車場の向ふに河原があって〕」や詩人の大木実あて書簡なども紹介されており、執筆陣もなかなか多彩な顔ぶれです。
また、福島泰樹氏と保阪庸夫氏の対談「私が友保阪嘉内、私を棄てるな。」は、今まで紹介されることがなかった保阪庸夫氏の少年期~青年期のエピソードや、保阪家所蔵の賢治書簡がどのような経緯で山梨学院大学の三神敬子氏の知るところとなったか・・・といったことが語られており、大変興味深いものとなっています。
ただし、この対談はこの号で完結しておらず、次号に続くのが残念なところです。

(azalea)
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