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あたまの底のさびしい歌 [本の紹介]


あたまの底のさびしい歌

あたまの底のさびしい歌

  • 作者: 宮沢 賢治
  • 出版社/メーカー: 港の人
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本



図書館で「あたまの底のさびしい歌」という、ちいさな本を見つけました。
聞いたことのある言葉だな、おおそうそう賢治の手紙だ、いったいどんな本だ?
と、好奇心から手に取ってみました。

新書判の本に、賢治の手紙11編が収録されています。
編集が凝っていて、どの手紙も大きめの活字で、散文詩ふうにレイアウトされています。
こうして見ると、どの手紙も散文詩といってもおかしくないほど、きらきらした言葉に満ちています。
また、かわいらしいイラストも添えてあって、全集で読むのとはまた違った印象を受けます。
書いてあることは変わらないのですが、間を取りながらじっくり読める感じがしました。

さて、なぜこの本をこのブログで紹介するのか・・・と疑問を持たれた方もあるかも知れません。
実はこのちいさな本に収録された11編の手紙のうち、何と7編が保阪嘉内あての手紙なのです。
ほかには宮沢清六あて、宮沢政次郎あて、森佐一あて、柳原昌悦あてが各1通。
こうしたことを考えても、賢治が嘉内へ宛てた手紙の重要性がうかがえる気がします。
賢治の精神形成を考える上で、嘉内との手紙のやりとりは大きな意味を持っていると私は思うのです。
こうした手紙のやりとりを通じて、賢治は自分の気持ちを整理したり、心の中にある気分の気持ちに気付いたりしたのではなかったでしょうか。
もし、嘉内に出会うことがなかったら、賢治の生き方は変わったものになっていたかも知れません。

この本を読みながら、そんなことを思いました。


(記:azalea)

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コメント 3

signaless

私の場合、知れば知るほど、保阪嘉内という人の魅力に取り付かれてしまいます。
そして、知れば知るほど、賢治を知るためには嘉内を知ることが不可欠だと
強く感じるようになりました。
賢治自身がそう感じていたように、ふたりはお互いに一心同体のような、なくてはならない存在ではなかったでしょうか。

by signaless (2009-02-13 11:19) 

虹・さきたま新聞

この絵にひかれて、アマゾンをのぞいてしまいました。
なんだか、クレーみたいな絵。
賢治さんのことは、まだまだしらないことばかりの私です。

良い本を紹介下さいました。ありがとうございます。

手紙、世の中で一番素敵なものです。しかも、賢治さんと嘉内。

やっていることと矛盾しますが、手紙のようなブログや新聞にしたいです。


by 虹・さきたま新聞 (2009-02-13 21:02) 

azalea

>signalessさん
二人はお互いに似ているところを持ちながら、相手にないところも持っていた。
それが、ぴったりとかみ合うような関係だったのかなあ・・・なんて賢治の手紙を読みながら思いました。
でも、嘉内は賢治に宛てて、いったいどんな手紙を書いたのでしょうか?
どこからか一通でも、出てこないものでしょうか(^^;)

>虹さん
形は違うけれど、メッセージを誰かに伝える・・・ということにおいては、手紙も、ブログも、新聞も共通しているところがあるような気がします。
虹さんの新聞の記事からは、いつも熱いメッセージが伝わってきます。
私もまだまだ力が足りませんが、手紙のようなブログめざしてがんばっていきたいと思います!
by azalea (2009-02-13 23:12) 

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