さくらさきみち めぐむもの

あおいそら　あおいそら
さくらさきみち　めぐむもの
われらいま　われらいま
のぞみはたかし　うつくしし
あおいそら　あおいそら
さくらさきみち　めぐむもの

ひかりゆれ　ひかりゆれ
あおばかがやき　まなびやに
われらいま　われらいま
ともにてをとり　すすまなん
ひかりゆれ　ひかりゆれ
あおばかがやき　まなびやに

てんじつよ　てんじつよ
だいちはてなし　ちちははよ
われらいま　われらいま
おおしくこころ　きたわなん
てんじつよ　てんじつよ
だいちはてなし　ちちははよ

ゆきつみて　ゆきつみて
ほしよきらけき　みねのまつ
われらいま　われらいま
いのりささげん　さちのひの
ゆきつみて　ゆきつみて
ほしよきらけき　みねのまつ

倉吉市立明倫小学校の校歌です。
校歌といえば、学校の名前や地域の名所旧跡などがでてくるのが定番ですが、この歌にはそれが一つもありません。
でも、なぜか心にひびく歌詞だとは思いませんか？

この歌は、河本緑石が昭和５年（１９３０年）に作詞したものです。
全部で４番まであって、それぞれ春夏秋冬と四季が表現されていますが、私は春をうたった１番が大好きです。
「さくらさきみち　めぐむもの」という言葉の中には、躍動する生命の力があふれているように感じられます。
ちょうど今、入学式のシーズンですが、この歌で迎えられる明倫小学校の新入生たちが何となくうらやましく思われます。
私がこの歌を知ったのは、数年前に倉吉市で行われた河本緑石のシンポジウムでのことですが、それ以来桜の季節になると、なぜかこの歌を思い出すようになりました。

ところで、友人からいただいた情報によれば、NHK（BS）で放送されている「俳句王国」の公開収録が６月２１日（土）に鳥取県の三朝町で行われるそうです。
http://www.nhk.or.jp/tottori/news/info/20080621.html
もしかしたら、河本緑石にも触れられることがあるかも知れませんね。
「カムパネルラの館」も紹介されるかも？


（記：azalea）

コメント 4

10年前に、熊谷で入沢康夫さんが講演なさったことがありました。くまがや賢治の会が、宮沢賢治研究会と共催した秩父路セミナーでのことです。例年行っている「くまがや賢治祭」が、全国からの賢治学会の会員の方をお迎えし、賑やかに行われました。寄居・小鹿野・三峯とまわり、入沢先生からＴシャツにサインして貰ったりと、素晴らしい内容でした。

その時に入沢先生が講演してくださった中で一番面白かったのが河本緑石のことなのです。確かご親戚とか、お隣とかいうご関係で、お話にも熱が入っていました。全く知らない人だったので、とても興味深かったのです。入沢先生は語彙辞典を出したばかり。詩集も久しぶりに読み返し、熱を上げました。そんなことを思い出しました。春の日の、いのちを感じさせてくれる素敵な校歌。教えてくださってありがとうございます。
by さきたま新聞 (2008-04-10 18:00) 

いつもブログをごらんくださり、ありがとうございます。コメントうれしいです！！
緑石さんの作品は、賢治さんとも嘉内さんともまた違った感じでいいですね。主な作品は自由律俳句ですが、この校歌は緑石の作品の中でもとても心に残っています。特に、「さくらさきみち　めぐむもの」の１番の歌詞は大好きです。

＞確かご親戚とか、お隣とかいうご関係・・・
えっ、そうなんですか！それは存じませんでした。
きっと何かのご縁なのでしょうね。

私も、さきたま新聞さんの情熱のこもったブログ、楽しみにさせていただいています。
これからもよろしくお願いしますー！！
by azalea (2008-04-10 22:24) 

親戚でもお隣でもなくて、本籍が同じ鳥取県なのです。私の伯父が緑石さんから、新傾向俳句の手ほどきを受け、吟行にご一緒したこともあるそうです。このことは、拙著『詩にかかわる』（思潮社 2002）に収録した「日野川」という文に、やや詳しく書きましたので、もしもご一読頂ければさいわいです。
by 入沢康夫 (2008-04-17 17:06) 

えっ、入沢康夫先生？　えええ～っ・・・という感じで動揺しながらコメント拝見させていただきました。　
このささやかなブログをご訪問くださった上に、こんなに御丁寧なコメントを頂戴しましたこと、驚き、また大いに恐縮いたしております。
誤りをとてもやさしいお言葉で正してくださり、ありがとうございました。
伯父様が緑石さんと一緒に吟行された御関係であったこと、初めて知り、とても感慨深く思いました。
御教示いただきました『詩にかかわる』、さっそく探して読んでみます！
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

by azalea (2008-04-17 18:46)