事実と虚構とのはざま [その他(雑感など)]
先日、たまたま俵 万智さんの『短歌をよむ』という本を読んだ。
なかなか面白かったのは、彼女の有名な作品
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
という歌について述べているところ。
実は、この歌が生まれるきっかけとなった現実の出来事としては「サラダ」ではなく、「鳥のからあげ」であり、日にちも七月六日ではなかったというのである。
最初にできた歌は
カレー味のからあげ君がおいしいと言った記念日六月七日
であり、それが
「カレー味がいいね」と君が言ったから今日はからあげ記念日とする
となり、さらに
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
となったというのである。
彼女は「短歌は、言葉による表現である。日記や身の上話とは違う」といい、「全部がほんとうではないし、全部が嘘でもない。心の揺れは、たしかにほんとうに私の心に宿ったもの。けれど、それが言葉というかたちになる過程では、現実から離れてゆくこともある」と述べている(同書128~133頁)。
文学作品の本質を言い表した好例であろう。
作品は、あくまでも「作品」なのである。
事実と虚構とのはざま・・・「作品」の世界はそんなところにあるのかもしれない。
虚構を事実であるかのように読者に感じさせるのは、まさに作者の筆力なのであろう。
そしてそれが「作品」の面白さを創り出しているのかもしれない。
(ちなみに俵万智さんと保阪嘉内はともに竹柏会の会員です)
なかなか面白かったのは、彼女の有名な作品
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
という歌について述べているところ。
実は、この歌が生まれるきっかけとなった現実の出来事としては「サラダ」ではなく、「鳥のからあげ」であり、日にちも七月六日ではなかったというのである。
最初にできた歌は
カレー味のからあげ君がおいしいと言った記念日六月七日
であり、それが
「カレー味がいいね」と君が言ったから今日はからあげ記念日とする
となり、さらに
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
となったというのである。
彼女は「短歌は、言葉による表現である。日記や身の上話とは違う」といい、「全部がほんとうではないし、全部が嘘でもない。心の揺れは、たしかにほんとうに私の心に宿ったもの。けれど、それが言葉というかたちになる過程では、現実から離れてゆくこともある」と述べている(同書128~133頁)。
文学作品の本質を言い表した好例であろう。
作品は、あくまでも「作品」なのである。
事実と虚構とのはざま・・・「作品」の世界はそんなところにあるのかもしれない。
虚構を事実であるかのように読者に感じさせるのは、まさに作者の筆力なのであろう。
そしてそれが「作品」の面白さを創り出しているのかもしれない。
(ちなみに俵万智さんと保阪嘉内はともに竹柏会の会員です)
2011-12-15 20:17
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