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宮沢賢治生誕115周年に思う [その他(雑感など)]

宮沢賢治が生まれて今年で115周年となります。
1世紀以上前に生まれた人なのに、その作品は今でも新鮮であり、年々新しい読者を獲得していることは考えてみれば凄いことだと思います。
やはり賢治は〝天才〟であり、その作品には普遍性があるということなのでしょう。

5年前、生誕110周年の時には各地で記念イベントも行われましたが、今年はあまりそういう話も聴かないようです。

生誕115周年だからというわけではないでしょうが、山梨県ではこういう企画があるようです。
山梨県立科学館のプラネタリウム番組「二人の銀河鉄道~賢治と嘉内の青春」。
http://www.kagakukan.pref.yamanashi.jp/web/event.php?id=922&year=2011&month=9

また、9月には韮崎市駅前の市民交流センターがオープンし、その内の「ふるさと偉人資料館」では保阪嘉内のコーナーも設けられるそうです【註】
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2011/08/25/10.html

この5年間で、保阪嘉内は多くの人に知られるようになり、また注目されるようになったように感じます。
しかし、その理解の多くは菅原千恵子氏の『宮沢賢治の青春』によるもののように思われます。

宮沢賢治の青春―“ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって (角川文庫)

宮沢賢治の青春―“ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって (角川文庫)

  • 作者: 菅原 千恵子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 文庫


数年前に刊行された江宮隆之氏の小説『二人の銀河鉄道 嘉内と賢治』も、菅原氏が賢治の青春時代を描いた小説『満天の蒼い森』のテーマを、保阪嘉内の視点から描いてみたものといえるでしょう。
上述のプラネタリウムもそのタイトルから押して、これらを下敷きにしたもののような気がします。
(見ていないのであくまでも印象ですが)
また、角川書店の「イーハトーブ脚本賞」も、応募条件に〝参考文献として角川文庫「銀河鉄道の夜」「宮沢賢治の青春」の2冊を必読〟とありますから、やはり菅原氏的な賢治観・嘉内観に沿った作品が選ばれるのではないでしょうか。

でも、人口に膾炙していることと、本当にそれが正しいのか・・・ということは別の問題です。
菅原氏は『宮沢賢治の青春』の中で、「賢治と嘉内の出会いと訣別こそ彼の作品を凌ぐドラマ」であると述べていますが、このことは彼女の説の本質をよく表現していると思います。
つまりは、彼女の考えは地道な研究成果ではなく、『宮澤賢治 友への手紙』に記された小沢俊郎氏の考えを元に彼女自身が組み立てた〝ドラマ〟であるということです。
だから、彼女の著書には映画や小説の題材になるほど〝ドラマチック〟であり、感動を誘うところがあるのではないでしょうか。

でも、それはあくまでも彼女が思い描いた〝ドラマ〟の中の出来事なのです。
二人の間にあった友情や、保阪嘉内が若き日の宮沢賢治に大きな影響を与えたであろうことは確かだと思います。虚構はもっともらしい事実を組み込むことにより、真実味を帯びてきます。
「菅原氏は研究者に相手にされなかった」とよく言われますが、それは研究者には虚構の部分が見えてしまうからではないでしょうか。

おそらく事実は、菅原氏の描く〝ドラマ〟とは違うと私は思っています。


【註】
詳しくはリンク先の新聞記事もしくは市の「広報にらさき9月号」からご覧ください。
いずれ韮崎市の「アザリア記念会」からも何らかの情報が送られてくることと思いますが……。


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akatuki

ご迷惑を、おかけしまして、大変申し訳ありません。
会報「アザレア」は、事情がありまして発行が遅れておりましたが、碑前祭にあわせて発行の予定でおります。また、「ふるさと偉人資料館」のご案内は、本日発送いたしました。
活動自体は開館の準備作業が中心となっておりましたので、皆様にご心配をおかけいたしました。大変申し訳ありませんでした。
                  

           アザレア編集長
by akatuki (2011-08-27 22:10) 

azalea

ご連絡ありがとうございました。
それでは到着を心待ちにしております。
何も情報がなくてやきもきしているのは私ばかりではないと思いますので、安心される方も多いことでしょう。
by azalea (2011-08-28 00:06) 

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