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千年の夢 文人たちの愛と死 下巻 [本の紹介]

『千年の夢 文人たちの愛と死』 下巻
小学館文庫 斎藤なずな著 690円

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この漫画は文人たちの愛と死について描いた重く深い内容です。
「岡本一平とかの子」「島崎藤村と駒子」「樋口一葉をめぐる男たち」「太宰治をめぐる女たち」その他高村光太郎、北原白秋、武者小路実篤などの恋愛を中心に人間の本質に迫る漫画と言うべきか恋愛映画とも言うべきものです。
下巻の第三話に「恋文」という題で賢治と嘉内のことが描かれています。読んでいてなんだか切なくなってきました。寮での出会い、岩手山登山、除名放校処分、別れ、そして銀河鉄道の夜に結実していく過程が見事に描かれています。

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この中で作者の斎藤なずなは「はじめに」の中で、
「とりあげようとする文人に関してはそれなりの資料を読みます。読み進むうちにその人物の輪郭が浮かび上がってきます。が、賢治だけはいつまでもはっきりしません。たいがいの研究書が妹への愛を前提として書かれているのですがその妹への手紙を読むと、妹思いの兄のレベルを出ず、友人保阪嘉内への手紙に濃さに比べるとむしろ冷淡とも見えます。マンガにすることを諦めかけていた時に菅原千恵子さんの著作「宮沢賢治の青春」にぶつかりパズルが解ける快感を覚えました。
 ユリア、白い大きな足のダルケ、鮮烈な悲しみに彩られた初期の詩集に隠されている名前は、妹ではなく保阪嘉内と確信しました。失って恋と自覚した友情。この菅原氏の説が異端とされているのは門外漢の素朴な目で見ると不思議で妹説はよほど権威に支えられているのかと思うばかりです。」
こう書いています。

興味のある方は是非お読み下さい。セブンアンドワイなどでも取り寄せられます。


(記:むこうみず)
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さきたま新聞・虹

そうなんだ。
また、素敵な本を紹介いただきました。

興味津々ですが、賢治さんのことを、思うと、ますます複雑な思いです。
 さきたま新聞のブログで近々アップしますが、久しぶりに、3/21に熊谷で萩原昌好先生の勉強会があります。
「フランドン農学校の豚と・・・ 」、くまがや賢治の会主催です。

鎌倉の勉強会はいかがでしたか。
by さきたま新聞・虹 (2009-03-02 16:42) 

azalea

虹さん、こんにちは!
萩原先生の勉強会の話題、ブログで拝見できるのを楽しみにしています。

鎌倉は、14日の土曜日です。
まだまだ先だと思っていたら、もう10日ほどになってしまい、準備が追いつかずふうふう言っています。
さて、どうなりますやら。。。
せっかくのお招きなのに、鎌倉の皆さんを失望させなければよいのですが(^^;)

by azalea (2009-03-02 19:34) 

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