日本の子どもの文学−国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み [イベント(展覧会・講演会・研究会など)]
東京・上野公園の国際子ども図書館で開催中の展示会「日本の子どもの文学−国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み」を見てきました。
図書館なので展示といっても本ばかりですが、国際子ども図書館の展示は本好きな人(自分を含め)にはとても楽しめます。
この展示会は2011年2月19日から続いている長いもので、定期的に展示替えが行われています。
とくに「児童文学者コーナー」は石井桃子、小川未明、谷川俊太郎・・・・と著名な児童文学者が取り上げられてきましたが、第4回(展示期間:2012年8月21日~2013年2月24日)は宮沢賢治の登場です。
公園内には他の博物館や美術館のポスターにまじって、国際子供図書館のポスターも掲示されています。
図書館の前の掲示板にもポスター(矢印のところ)が貼られています。
御存知の方も多いと思いますが、国際子ども図書館の建物は往時の帝国図書館(上野図書館)の建物を保存しながら活用したものです。
大正10年(1921年)に花巻を飛び出して単身上京した賢治は、ここに本を読みに通っていたのです。
まさか90年後に自分が生前刊行した唯一の童話集がこの建物の中で行われる展示会で飾られ、自分自身についてもその展示会で取り上げられて紹介されるとは、夢にも思っていなかったでしょう。
会場は3階の「本のミュージアム」です。
ここは帝国図書館時代は普通閲覧室だったところです。
つまり、この部屋で賢治さんは読書に励んでいたということになりますね。
中は撮影禁止なので紹介できませんが、展示は
1.『赤い鳥』創刊から戦前まで−「童話」の時代
2.戦後から1970年代まで−「現代児童文学」の出発
3.1980年代から1999年まで−児童文学の現在
4.現代の絵本−戦後から1999年まで
5.子どもの文学のはじまり
という構成になっており、これに「児童文学者コーナー」が加わります。
「児童文学者コーナー」では賢治の生涯がパネルで紹介されるとともに、賢治作品を取り上げたさまざまな児童書が展示されていました。
その多くは既に目にしたことのあるものでしたが、1948年に小山書店から刊行された『イーハトーヴォ物語』は初めて見ました。
この本の絵は赤松俊子さん・・・つまり「原爆の図」の丸木俊さんが描いています。
なかなか貴重な1冊だと思います。
評論として去る10月6日に講演を行った天沢退二郎さんの本、漫画化されたものとしてますむらひろしさんの作品が展示されていました。
会場ではパンフレットが無料でもらえます。
パンフレットは和文のほかに英文のものもあって、英文の方が判型が大きくなっています。
建物の裏手では、増築工事が進んでいます。
書庫を中心とした新しい建物ができるそうです。
ちなみに、賢治の作品にも登場する地下の食堂は建物の改修に伴って免震装置(ダンパー)設置のため撤去されてしまい、現存していないそうです。
■日本の子どもの文学−国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み(オフィシャルサイト)
http://www.kodomo.go.jp/event/exhibition/tenji2011-01.html
図書館なので展示といっても本ばかりですが、国際子ども図書館の展示は本好きな人(自分を含め)にはとても楽しめます。
この展示会は2011年2月19日から続いている長いもので、定期的に展示替えが行われています。
とくに「児童文学者コーナー」は石井桃子、小川未明、谷川俊太郎・・・・と著名な児童文学者が取り上げられてきましたが、第4回(展示期間:2012年8月21日~2013年2月24日)は宮沢賢治の登場です。
公園内には他の博物館や美術館のポスターにまじって、国際子供図書館のポスターも掲示されています。
図書館の前の掲示板にもポスター(矢印のところ)が貼られています。
御存知の方も多いと思いますが、国際子ども図書館の建物は往時の帝国図書館(上野図書館)の建物を保存しながら活用したものです。
大正10年(1921年)に花巻を飛び出して単身上京した賢治は、ここに本を読みに通っていたのです。
まさか90年後に自分が生前刊行した唯一の童話集がこの建物の中で行われる展示会で飾られ、自分自身についてもその展示会で取り上げられて紹介されるとは、夢にも思っていなかったでしょう。
会場は3階の「本のミュージアム」です。
ここは帝国図書館時代は普通閲覧室だったところです。
つまり、この部屋で賢治さんは読書に励んでいたということになりますね。
中は撮影禁止なので紹介できませんが、展示は
1.『赤い鳥』創刊から戦前まで−「童話」の時代
2.戦後から1970年代まで−「現代児童文学」の出発
3.1980年代から1999年まで−児童文学の現在
4.現代の絵本−戦後から1999年まで
5.子どもの文学のはじまり
という構成になっており、これに「児童文学者コーナー」が加わります。
「児童文学者コーナー」では賢治の生涯がパネルで紹介されるとともに、賢治作品を取り上げたさまざまな児童書が展示されていました。
その多くは既に目にしたことのあるものでしたが、1948年に小山書店から刊行された『イーハトーヴォ物語』は初めて見ました。
この本の絵は赤松俊子さん・・・つまり「原爆の図」の丸木俊さんが描いています。
なかなか貴重な1冊だと思います。
評論として去る10月6日に講演を行った天沢退二郎さんの本、漫画化されたものとしてますむらひろしさんの作品が展示されていました。
会場ではパンフレットが無料でもらえます。
パンフレットは和文のほかに英文のものもあって、英文の方が判型が大きくなっています。
建物の裏手では、増築工事が進んでいます。
書庫を中心とした新しい建物ができるそうです。
ちなみに、賢治の作品にも登場する地下の食堂は建物の改修に伴って免震装置(ダンパー)設置のため撤去されてしまい、現存していないそうです。
■日本の子どもの文学−国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み(オフィシャルサイト)
http://www.kodomo.go.jp/event/exhibition/tenji2011-01.html
2012-10-27 07:10
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コメント(2)
お久しぶりです。わたしも夏に行ってきたのです。
ここは子どもたちが小さな頃は動物園の帰りなどに行っていたところ。今回は久しぶりに行きました。ポスターがかわいくて、前から気になっていたのです。
児童文学にわくわくできるのは、生涯で二度、子どもとして、大人として接することのできた人たちに共通するものでしょうか。
賢治さんの展示、貴重なものだったのですね。
きのう岩崎ちひろの映画を観ました。彼女は赤松俊さんの弟子だった時期があるそうですが、やはり一時賢治さんに夢中だったそうです。映画の中には高畑勲さんも登場。おすすめです。
by にじ (2012-10-28 09:17)
こんばんは。にじさんはもう8月に展示をご覧になったのですね。
上野も最近はなかなか行く機会がなくて、遅ればせながら出かけた次第ですが、講演の雰囲気もずいぶん変わっていて驚きました。
あの奏楽堂の前あたりのホームレスの村(?)も、いつの間にか無くなっていて・・・。
大人になって、あらためて児童文学にわくわくできるのは、きっと幸せなことだなあとつくづく思います。
展示されていた本の中には、子供のころ夢中で読んだものから、多感な(?)青春時代に読んだもの、子育ての時期に子供に読んで聞かせてやったものなど、懐かしい本がたくさんあって、いつまで見ていても見飽きませんでした。
そういえば、ちひろさんの画の賢治の童話集は、高校生のころの愛読書でした。
映画もぜひ観てみたいです。
by azalea (2012-10-28 19:36)