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冬の長瀞 [ゆかりの地]

先月、賢治さんの短歌にもうたわれた長瀞に行ってきました。
冬の時期(今年の運行は1月~2月末)しか運行されない長瀞一周船に乗るためです。
冬場は荒川の水位が下がってライン下りができないため、代わりに岩畳周辺を一周する船が出るのです。

長瀞駅.JPG

最寄りは秩父鉄道長瀞駅です。
1911年(明治44年)の開業当時(当時は宝登山駅。1923年に長瀞駅に改称)のままで残されている(つまり賢治さんが訪れた頃とほとんど変わっていない)駅舎で、「関東の駅百選」にも選ばれています。

乗り場.JPG

何年か前にはエンジンの付いた屋形船のような感じだった記憶があるのですが、今は普通の手漕ぎの和船にコタツを乗せた「ぽっかぽっか船」です。
寒い日でしたがコタツはとても暖かく、なかなか風情があります。

出発.JPG

いざ出発。
いつもは岩畳の上から荒川を眺めるのですが、今日は逆に荒川から岩畳を眺めます。

上流.JPG

これが上流側、

下流.JPG

これが下流側の眺めです。
長瀞の「瀞」という文字が表しているとおり、このあたりの荒川の流れはとても緩やかでまるで湖のようです。

つらら.JPG

崖の湧き水のあるところには、大きな氷柱が下がっています。
この下付近に来ると急に冷たさを感じるほどです。

……ということで、20分ほどの船による長瀞一周は終わりました。
賢治さんの詠歌、

  つくづくと「粋なもやうの博多帯」 荒川ぎしの片岩のいろ。

は一般に虎岩を詠んだものだといわれています。
弟の清六さんも虎岩を訪れていますので、有力な説なのだろうとは思います。
でも、歌に即して読み取る限り賢治さんの感動は「粋なもやう」そのものにあるのではなく、そのように見える「片岩のいろ」にあり、この長瀞に広がるさまざまな結晶片岩が織りなす独特な渓谷美を詠んだもののように私には思えるのです。
虎岩に限定してしまうよりもその方が歌のスケールが大きいし、長瀞の風景をよく表しているような気がします。

虎岩.JPG
(ちなみに、これが虎岩です)

本来、この時期の長瀞といえば臘梅が見頃なのですが、今年は寒さがひどくてまだちらほら咲き(日当たりの良いところでは7分咲きくらい?)という感じでした。

臘梅.JPG

さて、賢治さんと一緒に地質旅行で長瀞を訪れた一行の一人でもある小菅健吉さんの展覧会が、3月17日(土)から栃木県さくら市のさくら市ミュージアムで開催されます。
タイトルは「-小菅健吉・宮沢賢治・保阪嘉内・河本義行-『アザリア』の仲間たち」。
印刷物の製作が少し遅れているようですが、チラシが届きましたらまたお知らせしたいと思います。
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