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「イーハトーブ農学校の賢治先生」を語る [ビデオ・映画・CDなど]

今回は魚戸おさむさんのコミック「イーハトーブ農学校の賢治先生」と、佐藤成さん編のCD「『イーハトーブ農学校の賢治先生』を語る」の紹介です。

本とCD.jpg

CD「『イーハトーブ農学校の賢治先生』を語る」は賢治の命日の8月27日に発売されたもので、とても素晴らしい内容に驚きました。
ジャケットに「賢治の教え子らが語る実況録音集」と書いてあるように、賢治が農学校の教師をしていた時の教え子24名と、同僚教師の堀籠文之進氏が当時の賢治を回想して語っている肉声を収録したものです。
「あらまし」によれば、1982年1月12日に花巻の〝ブッシュ〟こと「やぶ屋」に上記の方々に集まってもらい、賢治先生の思い出を語ったいただいた時の記録の一部とのことで、編集によって文字通り「一言ずつ」という感じになってはいますが、それぞれの言葉の中に賢治先生に対する思いが凝縮されているようで、聴いていて胸が熱くなってきます。
最後は全員による「精神歌」の斉唱で締めくくられます。
これはもう圧巻!!
みんな心は〝あの頃〟に戻り、目の前には賢治先生が見えていたに違いありません。

23分はあっという間に終わってしまいました。
定価は何と525円!
2525円や1525円の間違いではありません(笑)
魚戸おさむさんのイラストで飾られたシンプルなジャケットには、とても好感が持てます。
購入は、でくのぼう出版から。


さて、このCDは今月の初めには聞くことができたのですが、感想のアップが今になってしまったのには理由があります。
CDジャケット裏面のイラストに「ビッグコミックスペシャル『イーハトーブ農学校の賢治先生』より 佐藤 成監修/魚戸おさむ作画/小学館発売」とあったので、せっかくなら魚戸おさむさんの「イーハトーブ農学校の賢治先生」を併せて紹介しようと思ったのですが、近所の書店の店頭にはなく、注文していたら時間がかかってしまいました。
(読まないで記事にするのは作者の方にも、読者の方にも失礼なことですから)
こちらも原案・監修は佐藤成さんですが、魚戸さんの画力はやはりすごいですね。
読んでいて〝あの頃〟の花巻にタイムスリップしたような気分になりました。
魚戸おさむさんといえば「家裁の人」が有名ですが、最近は「食卓の向こう側」「玄米せんせいの弁当箱」といった〝食〟をテーマにした作品を多く描かれています。
「イーハトーブ農学校の賢治先生」は定価1300円。
(くわしくはこちら(小学館)をどうぞ)
コミックとしては少々値が張りますが、元気をもらえる1冊です!


佐藤成さんの著書は『教諭 宮沢賢治』以来、長年愛読させていただいていますが、どれも丹念な調査によって貴重な証言や記録を集めたもので、地味ではありますがとても貴重な資料です。
このたびCDやコミックと、その研究成果が新たな形で世に出されたことには、大きな意義があると思います。
賢治の教え子たちも、堀籠先生も、今ではみんな物故されてしまいました。
佐藤さんのきちんとした記録があるからこそ、私たちもこうしてその声を聴き、当時を知ることができるのです。
いつも思っていることですが、記録をし、それをきちんと伝えていくことの大切さを、CD「『イーハトーブ農学校の賢治先生』を語る」を聴きながら、改めて感じました。


[ひらめき]魚戸おさむさんのブログ


(記:azalea)
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コメント 2

橘香 六花

早速ご紹介いただきありがとうございます!
せっかく早くから書いてくださったのに、しばらくブログの方にコメントできず失礼致しました。
コミックは残念ながらまだ入手できていませんが、CDは私も聴きました。ややリスニング力が必要ですが、本当に一人一人の生徒、同僚の方々がそれぞれの思いを賢治さんに対して抱いているのだなと感じました。最後の精神歌は熱く込み上げるものがありますね。
本当に貴重な記録だと思います。よくぞ残してくださったと感じ入っております。佐藤さんのようにそういう地道な作業をされている方がいらっしゃるからこそ、後の世の人々が当時の様子の片鱗でも知ることができ、そこから力をもらったり意義ある研究が深められたり様々な文化活動を発展させられたりするのだと思います。
「記録することの大切さ」、私もまったく同感です!!
何事も大切なことを伝えるには、空間だけでなく時間を越えていくことも意識していきたいものです。
私は研究者でありませんが、自分もそのような活動の一助になれればと思っております。
by 橘香 六花 (2010-09-23 08:02) 

azalea

橘香 六花さん、コメントありがとうございます。
ネイティブの花巻弁には最初とまどいましたが、聴いていると何となく耳が慣れてくる感じですね(笑)
でも、本当に農学校時代そのままに自分の言葉で、一人一人が賢治先生への思いを語っているのがよく伝わってきて、変によそ行きみたいな言葉で語るのよりも、うんといいですね。
リアルタイムで賢治さんを知っているこんなにたくさんの人から話を聴くことができたなんて考えてみればうらやましい限りですが、ささやかでも私たちには私たちにできることをしていきたいですね。
by azalea (2010-09-23 19:40) 

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