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岩手と山梨を結ぶ友情の樹 [その他(雑感など)]

岩手大学内に設置されている宮沢賢治センターは平成18年6月に発足し、定例研究会や宮沢賢治記念短歌会、経理ムベキ山登山、など、賢治精神を後輩に伝えるために活発な活動を展開しています。
宮沢賢治センター通信第4号が送られてきました。
その中に石田紘子先生(前盛岡市立杜陵小校長)の報告が掲載されていましたので紹介します。

第16回定例研究会
講師 石田紘子氏
演題 「岩手と山梨を結ぶ友情の樹」

宮沢賢治と保阪嘉内。
二人の友情と高い志は、「やまなし」と「ギンドロ」という形で現代に継承されている。舞台は賢治の生まれた岩手県と嘉内の生まれた山梨県。
石田氏の講演はそこで行われた両者の交流の一部始終を目の当たりにするものだった。
以下その模様を簡単ではあるが紹介したい。
友情の樹「やまなし」の交流の主役は、石田氏が校長を務める2002年の盛岡市立杜陵小学校5年生49人。
物語の始まりは、同年行われた経済産業省企画の「キッズマート」(起業体験)であった。
翌年、国語の授業で学習した宮沢賢治作「やまなし」の理想の世界に感動した彼らは、その益金を使い学校に卒業記念樹として「やまなし」を贈ることを企画する。
さっそく岩手県内で苗探しをするが難航。
そこで石田氏は知人を介し山梨県に相談した結果、同県から「やまなし」の苗木3本贈呈の朗報が届くことになる。
そのプレゼントに同氏は驚き、子どもたちは感動したという。
平成16年3月の卒業式、49人の主役達は山本栄彦山梨県知事の「やまなしのように立派に美しく育っていく」ことを願うメッセージと共に苗木の目録を受け取った。
そして同年4月29日のみどりの日、温かい思いのこもった3本の「やまなし」は校舎内に2本、岩手公園賢治詩碑側に1本と分けられ、子どもらの手によって植樹された。
そして物語は、友情の樹「ギンドロ」の交流へと向かっていく。
平成19年8月、賢治・嘉内生誕110周年記念事業委員会から「ギンドロ」をお世話していただきたいと電話が入る。
「やまなし」を無償で提供してくれた山梨県に「お返しが出来ればいいなあ」と思っていた石田氏はその電話により「お返しが出来る」という強い思いに変わったという。
それから達増拓也岩手県知事の知人を介して県に協力を依頼したところ、知事に快諾をもらい、雫石町の小岩井農場から「ギンドロ」の苗木3本を無償で提供されることになった。
そして同年10月、岩手の「ギンドロ」3本は達増知事のメッセージと共に嘉内の故郷である山梨県韮崎市に贈られ、13日には「保阪嘉内・宮沢賢治花園農村の碑」の除幕式と共に記念植樹が行われた。
このようにして行われた「やまなし」と「ギンドロ」の交流。
それは固い友情という絆で結ばれていた賢治と嘉内、各々の故郷である「岩手と山梨の交流」であると共に「子どもたちとやまなしの交流」や「やまなしとギンドロそれぞれが結んだ人々の交流」でもある。
これら一連の交流の物語をこれからも続けていきたいとする石田氏は最後に「山梨県の一組のご夫婦が毎年、岩手に来たやまなしを見に来てくれるように、二人の友情の樹が我々に夢を与えてくれる」と語った。
厳しい冬をこえて春。
ギンドロの樹は確かに芽吹いています。
これからもこの友情の樹を岩手でも山梨でも二人の友情のように育てていきたいものです。

宮沢賢治センターのホームページはここです。
http://kenji.cg.cis.iwate-u.ac.jp/index.html

除幕式石田先生.JPG
除幕式の石田先生(右から二番目です)

植樹石田先生.JPG
植樹をする石田先生

やまなしの木.JPG
杜陵小学校に贈られたやまなしの樹

(記:むこちゃん)

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